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音楽とかいろいろ

大森靖子とわたし

「可愛い」という言葉は魔法である。「綺麗」よりも「可愛い」のほうが好きだ。もっと言うと「可愛い」ではなく「かわいい」という表記のほうが好きだ。ふんわりしている。幼少期にわたしは「かわいいかわいい」と言われて育ってきたのだけれどもいまではその当時の見る影もなく無残な姿に成り果てて鏡を見るたびに絶望しながらそれでも何かと理由をつけて今日も生きている。例えば車校卒業検定に受かったとか。アマゾンでアジカンのBDの支払いしちゃったから届いて観るまでは死ねないとか。たぶんこれから先も何かと死ねない理由をつけては生きていくのだと思う。

これは常々言っていることなんだけど、かわいいくせにかわいくないふりをする女の子が苦手だ。それで「え~~かわいいよ~~」待ちな女の子も苦手だ。開き直ってかわいいんだからそれを最大限に武器として使ってほしい。ちやほやされろってことではなく、かわいいんだから武器にするべきだと思っている。

そんな「かわいい」を最大限に詰め込んだ女の子と言えば大森靖子である。
残念ながら1stミニアルバム『PINK』は未聴なのだけれども1stフルアルバム『魔法が使えないなら死にたい』、2ndフルアルバム『絶対少女』は聞いている。 本当は1曲1曲書きたいところなんだけどそうしたら大変なことになるので厳選した2曲だけ書くことにする。

▽『ミッドナイト清純異性交遊』PV

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▽『ハンドメイドホーム』LIVE映像

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前者は『絶対少女』に収録されているのだけれども、ドロドロの闇からまばゆい光が放たれるような感覚に陥る曲で「君の気持はSNS/ときに顔文字なくてSOS」とか「いつまでも大きい瞳で大丈夫な日の私だけをみつめてよ」とか現代人の病抱えてる感じがたまらなく愛おしい。何かに依存しちゃってるんだよね。だからトチ狂ってアイフォンからLINE消したりするんだよね。わたしのことだけど。ダメダメな青春、10代じゃない20代のそれなりに自由を手にして堕ちるとこまで堕ちた青春を過ごしてきた彼や彼女には絶対に聞いてほしい。(その感覚で『まばゆい光が放たれている』と評して良いのかは謎)(音はキラキラのポップチューンだから合っているような気がしなくもない)

後者は『魔法が使えないなら死にたい』に収録。これじゃなくてタイトルチューンの『魔法が使えないなら死にたい』のPVを貼りたかったのだけれども見当たらなかったのでこちらで。この曲も好き。「ちょっと高すぎる気もするけれど/悪魔の人が売ってたから/買っちゃった/仕事がんばる」のフレーズが好きすぎる。「共感する~~」とか言いたくないんだけど、ちょっとお高めの化粧品を買ったりお洋服を買ったりするときって自分の中のもう一人の自分が「悩むなら買っちゃえよ~~今月のバイト頑張れば良いじゃん~~」みたいなことを言ってくるからそういう意味ではすごくわかる。目まぐるしい日常を過ごしていても、そういうご褒美みたいな、自分に言い聞かせて生きてる感じが生々しくてすごく良いなあって思う曲。

どの曲も元々ビッチ気質を持つ女の子がある程度自由に使える時間とお金がある状況において、どんどん堕落していくサマを観察しているような気分になる。端金あげたらヤれちゃうようなそんな安い女の子。SNSでちやほやされるためだけに着飾ってオフパコ()してピル常飲してて「中に出して良いよ」って誰にでも言えるような女の子。自分の生きる手段を確立しているからある意味めちゃくちゃかわいいと思う。失ったときの反動がすごそうだけど。

大森靖子は全ての男女(どちらかといえば女の子の比率が高いと思うし、それはもちろん彼女自身が最高にかわいい女の子であるからなんだけど、中でもメンヘラ気質がある子)を肯定して音に変えている人だ。ライブごとに演奏の雰囲気が変わって同じ曲なのに違う曲に聞こえるのも生きている感じがしてとても好き。
ライブ、1回は行ってみたいなあ。